アッ=タクウィール(アラビア語: التكوير、”The Turning Into a Sphere” “球体への転化”)は、クルアーン第80章であり、29節から成る。この章では、審判の日の到来を示すしるしについて述べられている。その中には次のような兆候がある:
- 太陽が暗闇に覆われる時(日食)
- 星が落ちる時
- 山々が消える(吹き飛ぶ)時
- 子連れの大きなラクダが捨てられる時
- 野獣が群れをなす時
- 海がわき上がる時
- 魂が選別される時
- (生き埋めにされた)少女が問われる時
- 彼女は何の罪で殺されたのか
- 書冊(の行いの記録)が開かれる時
- 天が裂かれる時
- 地獄が燃え盛る時
- 楽園が近付く時
- その時,誰でも自分の行いについて知るであろう
81. THE ROLLING (at-Takwir)
التكوير【アラビア語】
包み隠す (巻き上げる) アッ=タクウィール 朗読音声
包み隠す (巻き上げる) アッ=タクウィール 【日本語訳】
慈悲あまねく、慈悲深いアッラーの御名において。
1 太陽が巻き上げられるとき、 2 星々が落ちて光を失うとき、 3 山々が吹き飛ばされるとき、 4 産み月の雌らくだが置き去りにされるとき、 5 野生のけものが集められるとき、 6 海が沸いてあふれるとき、 7 魂が (再び) 組み合わされるとき、 8 生き埋めにされた女児が尋ねられるとき、 9 何の罪あって殺されたのか、と。 10 (人間の行為を記録した) 書巻が開かれるとき、 11 天が剥ぎ取られるとき、 12 獄火が燃え立たされるとき、 13 楽園が引き寄せられるとき、 14 各々は、なしてきたことのすべてを知る。 15 われは誓おう、巡り潜むものにかけて、 16 流れ、退くものにかけて、 17 深まってゆく夜にかけて、 18 息づき始める朝にかけて。 19 本当に、この (クルアーンの) 御言葉は貴い使者 (ジブリール) からのもの。 20 玉座の主の御許に座を占め、力を有し、 21 つき従われる、信頼に足る者。 22 あなたがたの仲間 (であるムハンマド) は、とり憑かれた者ではない。 23 彼は確かに、明白な地平線に彼 (ジブリール) を見た。 24 彼 (ムハンマド) は、目には見えないものについて (の知識を) 出し惜しみしない。 25 これ (クルアーン) は、棄てられし悪魔の言葉ではない。 26 それなのに、あなたがたはどこへ向かうのか。 27 本当に、これ (クルアーン) は諸世界への戒めに他なならない。 28 あなたがたの中の誰であれ、まっすぐな道を歩みたいと望む者のためのもの。 29 しかしあなたがたには望むこともできない。世界の主たるアッラーが望まない限りは。
包み隠す (巻き上げる) アッ=タクウィール の解説と解釈
終末の日または審判の日の様子は、クルアーンのいくつもの章で描写されている。終末の日が到来するとき、現在の世界のバランスは崩れ、人間は自分自身の無力さを感じるだろう。その日、良き行い以外のすべてのものはその価値が失われる。その時、虐げられている者は、虐げる者に復讐する権利を持つ。
地球上に昼と夜が存在し、人間が観測する星の位置が変動するのは、地球の自転によるものである。地球の自転は、この宇宙の本当に驚異的な現象のひとつだ。いわば、啓示の事実を、わたしたちに理解させるひとつの例えといえるだろう。
地球が自転しながら、広大な宇宙空間で太陽の周りを公転していると想像すると、 強力な遠隔操作システムがあり、動きを正確に操っているように感じることができる。人間と天使を通しての神とのつながりも、これとパラレルに存在する。
地球の統制された動きは、天使を通して人間が神とコンタクトを取るという奇跡的な現象を理解する上で象徴的に役立つ。
これらの節の意味は、地球の自転公転の仕組みは、預言者ムハンマド(pbuh)が神の預言者であり、クルアーンが天使を通して預言者に啓示された神の言葉であるという事実の証となるということ。
聖クルアーンは預言者に啓示されたもの。アッラーからのメッセージを受け取った預言者が、それをそのまま人々に伝えた。それは、アッラーが人類に伝えるべき御言葉があり、その御言葉を預言者が自分の言葉で表現したわけではない。
THE ROLLING (at-Takwir)【英語訳】
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