ここでは占星術でのアウトオブバウンズ(Out-Of-Bounds)について詳しくみていきましょう。
アウトオブバウンズは、まず ディクリネーション について理解している必要があります。
アウトオブバウンズとは?
天空には、日々太陽が一年中、移動している領域があります。その領域は、天の赤道の両側に、およそ23度26分までの広い帯状になっています。月や惑星は、ほとんどがこの太陽に支配された天空のエリアを旅しています。
ところが時には、そのエリアから外れ、少し先に行くことができます。ディクリネーションの数値でそれがわかります。月は28度以上、水星は26度近く、金星は28度、火星は30度近く、木星と天王星は24度弱のディクリネーションに及ぶことがあります。冥王星は最も遠く、時には30度をわずかに超えることがあります。しかし、土星と海王星は太陽のディクリネーションを超えることはありません。
ディクリネーションが23°26’を超えた時点でその惑星はアウトオブバウンズであるというのが一般的なようです。ディクリネーションの数値が大きいほど、アウトオブバウンズの特性が顕著になってくるようです。
太陽の最大ディクリネーション値は、それぞれのエフェメリスにより多少の誤差がありますが、黄道傾斜角として記されています。ラファエルのエフェメリス2000-2050では、2021年5月に23° 26’14”が載っています。ロゼクルシャンのエフェメリスでは、1910年7月に23°27’08”、1998年3月に23°26’14”という記録があります。通常は、ディクリネーションの秒数は表示されないため、23°27’を超えるものはアウトオブバウンズであると考えることができます。
アウトオブバウンズになるとどうなる?
惑星が太陽のディクリネーションを超えると、アウトオブバウンス(OBB)という状態ということですが、ではいったいどうなるのでしょう?
太陽を社会の支配者として、政府や組織の権力者にたとえると、アウトオブバウンズの惑星は、それらの監視の目の届かないところ、人里離れた山の中に迷い込んだような状態といえるでしょう。
どこへ行けばいいのか、何をすればいいのかわからず、怯えています。しかし、その一方で、これまで許されなかったこと、できることは何でもできる自由を感じてもいます。やりたくてもできなかったこと、社会的に許されないことでも、さまざまな可能性が広がります。
太陽はまた、理性の光を象徴しています。理性は通常、肯定的な役割を果たしますが、同時に、何かを制限することもあります。枠にはまらない惑星は、人を天才的にし、誰もが解決不可能だとしていた問題に対して、普通では思いつかないような解決策を見出すことができたりします。しかし、理性のない闇の世界で、気がおかしくなり狂ってしまうこともあり得るのです。
アウトオブバウンズ生まれの人に現れる傾向
生まれたときの月やパーソナル・プラネット(水星、金星、火星)が、アウトオブバウンズだった人の中には、生涯を通して、その資質を持ち合わせていく人もいます。また、アウトオブバウンズの月やプラネットを持って生まれても、普段はあまり顕著ではなく、その月やプラネットが、アウトオブバウンズになるたび、その資質が濃く現れる人もいます。
アウトオブバウンズの惑星を1つ以上持つ人は、大勢の中で孤立し、他の人が望ましいと考えることや名誉あることを拒否するのが典型的です。
すべての惑星の中で、月のアウトオブバウンズの影響が、もっとも顕著であると言われています。そしてパーソナル・プラネットのアウトオブバウンズも、とても重要であると感じます。
『The Mountain Astrologer』2001年6・7月号に掲載されたパメラ・ウェルシュの記事によれば、惑星のアウトオブバウンズに生まれた人は、並外れた才能を示すこともあれば、不安定で異常な行動を示すこともあるそうです。そのような人々は、境界線を知らず、限界を受け入れない傾向があります。たいていは、彼らを止めることはできません。
その結果、無限の創造性と成功がもたらされ、ふつう期待される可能性をはるかに超えることができるようになります。人生における大きな障害を克服することができるのです。彼らは常に、社会で一般的に受け入れられていることの限界に挑戦しているのです。
いいことばかりではありません。アウトオブバウンズのエナジーは、精神的なバランスを崩す傾向があり、その人の人生に大きなプレッシャーとストレスを与えることもあるのです。
アウトオブバウンズにある惑星の影響を解釈するには、その惑星が通常持っている性質や特徴をふまえ、それらが非常に極端になった場合に、どのように現れるかを考えるようにします。
月のアウトオブバウンズ生まれの人
アウトオブバウンズの月を持つ人々は、とてもユニークで、独立して自由と一人を楽しむ傾向がみられます。その反面、非常に敏感で、感情的に不安定、疑い深くなったり、罪悪感にさいなまれたり、またはうつ病に陥ることがあります。
また、アウトオブバウンズの月を持つ人の多くは、幼少期に母親からの愛をじゅうぶんに受けることができなかったと感じています。大人になると無意識のうちに、この愛の欠如を補うために、成功を求めたり、物質的な安定を模索したりし、成功と富を得ることができるようです。
生まれたときに、月がアウトオブバウンスだった人は、以下のいずれかの特徴を一つ以上持っている傾向があります。そして、この人たちには、月の動きは重要です。特にプログレスの月には大きな影響を受けることになります。
離れる
自ら、慣れ親しんだ環境や、望ましく安泰であると思われている状況から出ることを選んだりすることがあります。それらは、他の人からみれば全く理解できない行動でしょう。地球を離れ月を歩いたエドガー・ミッチェルが当てはまります。
並外れた天才
天才的な能力とは「枠にとらわれない発想力」でしょう。アウトオブバウンズの月の下に生まれた人は、しばしばその資質をふんだんに発揮します。アインシュタインが例にあげられます。もちろん、必ずしも歴史に残るような「天才」ばかりではありません。
抜け出す
わたしたちは、子供の頃から育った環境や教育によりプログラムされています。厳しく都会で育った魂と田舎でのびのび育った魂は、人生において異なる道を歩むことが予想されます。アウトオブバウンズの月は、このような社会的な圧力や期待の束縛から抜け出すパターンがよく見受けられます。
反社会性と犯罪
月のアウトオブバウンズ生まれの人の中には、道徳および倫理に基づく常識に無関心だったりします。冷淡で非道徳的な行動は、犯罪行為に及ぶ可能性があります。
反社会性と犯罪の疑い
前例とは異なり、自然に従い、我が道を歩いているだけで、非難され、罪に問われたりすることがあります。例えば、キリストは裁判にかけられ有罪判決を受けました。そして、真実がはっきりしない犯罪の状況もあります。アウトオブバウンズの月の人は、このような状況に巻き込まれることが多いのです。
道を外れる
モラルや常識を外れ、自分を貫く人がいなかったら、世の中どうなっているでしょう? わたしたちの中の「やんちゃ」な部分は、彼らを応援するでしょう。真似をする勇気はないかもしれませんが、彼らの行動を自分の経験のように共感できるでしょう。月のアウトオブバウンズの人は、あえて外れることをいといません。
宗教外の霊的指導者
今や日本では生活の中で宗教の重要性が薄いかもしれませんが、世界では宗教が最も大事というところもあります。そんな中で、月のアウトオブバウンズ生まれの人の中に、よく伝統的宗教にこだわらない思想家や霊的な指導者が存在します。
変わり者
どんなところにも変わった人はいるものです。個性が際立ち、彼らはけして同じではありません。ファッションから持ち物、そして行動など風変りな人には、よくアウトオブバウンズの月に生まれた人がいるものです。
水星のアウトオブバウンズ生まれの人
水星のアウトオブバウンズは「常識にとらわれない」考え方をします。水星に関連するコミュニケーション、交通、商業、その他の生活分野など、あらゆる問題に対して解決策を見出すことができます。イーロン・マスクはこのいい例でしょう。
金星のアウトオブバウンズ生まれの人
金星の魅力と美は、きわめて見栄っ張りになるか、並外れた芸術的才能を生み出すか、ということがいえます。例えば、デビッド・ベッカムのように、女性が魅力的だと思う男性が金星のアウトオブバウンズを持っていたりします。また、有名な画家や彫刻家、音楽家の中にも、アウトオブバウンズの金星を持って生まれた人がたくさんいます。
火星のアウトオブバウンズ生まれの人
火星がアウトオブバウンズにあるとき、その自然な衝動とエナジーは、激しく攻撃的になるか、それとも並外れた勇気と身体能力を生み出すかのどちらかです。火星のアウトオブバウンズで生まれた人は、とても勇敢であったり、負けず嫌いな闘志を持っていたり、性欲が強かったりするようです。
メジャイ占星では、興味深いことに統計結果からみて、アウトオブバウンズの火星は、スポーツチャンピオンの要素であると示しています。ネイタルチャートでアウトオブバウンズの火星を持っている人は、スポーツで成功をおさめる可能性が高いというのです。
木星のアウトオブバウンズ生まれの人
木星のアウトオブバウンズを持つ人は稀で、一風変わった世界観や哲学を持っています。ヘンリー王子が当てはまります。王室の外で自分の人生の道を切り開いています。
火星のアウトオブバウンズ
火星のアウトオブバウンズの期間は、自然界と社会の両方において、無秩序なエナジーが暴走すると考えられています。異常気象、自然災害、事件、暴力的行為が発生する可能性があります。
火星のアウトオブバウンズは、決して珍しいことではなく、毎年のようにあります。2022年1月から2月にかけて、火星が28日間アウトオブバウンズになったように、1ヶ月くらいの期間であることもあります。
時には、もっと長く、数ヶ月、あるいはもっと長くなることもあります。半年以上になることがありますが、このように長い期間は比較的まれです。そして、このような場合、何らかの災害が起こることが多いのです。
1986年に3月27日から10月7日まで、194日間も火星がアウトオブバウンズになりました。チェルノブイリ事故が起きた時でした。次の長期の火星のアウトオブバウンズは、2001年4月15日から10月20日までの188日です。それは9.11の年でした。
2007 – 2008年には、203日間の長い火星のアウトオブバウンズ期間があり、世界的な金融危機と重なりました。そして次は、194日の長さで、2022年10月23日に始まり、2023年5月5日まで続く予定です。もうすぐですね。
この間は、10月25日に日食があり、5月5日には月食があります。始まりと終わりが日食月食と重なるため、特に重要な期間となる可能性があります。10月末と5月初めは無理な計画を立てないようにしましょう。そして、冬の間は、可能であれば安全な場所で過ごすことをお勧めします。
あなたが誕生したときには惑星のアウトオブバウンスがあるでしょうか?わたしは一つありました…
参考サイト:Out-of-Bounds Planets